2024年11月14日
船井電機破産
「世界のFUNAI」と呼ばれ、海外でも高い知名度を誇った電機メーカー、船井電機が10月24日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受け、給料日の前日に従業員約500人全員が一斉に解雇されるという驚きのニュースが駆け巡りましたね。
2021年に出版会社に買収されて以降、約300億円の資金が流出していたようで、破産への経緯を巡り謎が深まっているようで、この破産は、60年以上の歴史を持つ老舗メーカーとしては異例の幕切れとなります。
10月24日午後、本社に集められた約500人の従業員に弁護士から会社の破産と一斉解雇が通達され、船井電機のような規模の会社が民事再生法や会社更生法によって事業再建を図らず、取締役会などの決議を経ない準自己破産の手続きをとるのはきわめて珍しく、企業のノウハウも人材も散逸してしまうようなこの事態は前例がなく、驚きを隠せません。
破産申立書などによると、船井電機の21年3月末時点の現預金残高は約347億円あったようですが、今年10月25日に予定していた従業員への給与計1億8千万円を支払うと、運転資金は1千万円を下回るという、ほぼ枯渇した状態となっていたようで、約3年半の間に一体何があったのか疑問が残っています。
船井電気は、21年5月に出版などを手がける秀和システムホールディングス(HD)に買収され、非上場となり、テレビ事業の不振により営業赤字が常態化していた中、創業家が会社を再成長させられる経営者を探し、秀和の代表取締役の上田智一氏が選ばれたのですが、社長に就任した上田氏は「事業の多角化」を掲げ、23年4月に全国で脱毛サロンを展開する「ミュゼプラチナム」を買収、しかし約1年後の24年3月にミュゼを売却しており、これ以降、不可解な事柄が浮かび上がってきます。
なんでも5月から役員の入れ替わりが相次 いでいたようで、従業員すらよくわからない人物が入ってきていたようで、9月にはミュゼの広告代金約22億円の未払いが発覚、同27日には上田氏が社長を退任し、この9月末時点ですでに原材料の仕入れ代金が支払えず、工場の操業が停止していたようです。
破産申立書では、持ち株会社を経由したミュゼなどへの貸し付けで、船井電機から約300億円の資金が流出したとしており、これが破産の要因になったとみられ、このミュゼ買収を巡っては、横浜幸銀信用組合から資金が貸し付けられている一方、秀和による船井電機の買収資金の一部はりそな銀行が貸し付け、船井電機の預金が担保となっており、今年5月に回収されています。